平成14年度青森県畜産環境保全指導事業
青森県畜産試験場における
家畜排せつ物の処理に関する取り組みについて
青森県畜産試験場 家畜部
技師 佐藤 義人

 
通気性シートを用いた乳牛ふんの簡易堆肥化技術
 
畜産農家では、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」に基づき、ふん尿の野積み解消や汚水の流失防止など適正な処理をしなければなりません。
 ふん尿の堆肥化施設を本格的に整備することは理想的ですが、経費面で大きな負担となりますので、通気性シートと暗渠管を用いた切り返しの不要な堆肥化方法の活用も有効です。
 
通気性シートを用いた堆肥化
<特徴>
 切り返しをせずに夏場は3か月程度で堆肥化が出来ます。
<材料費>
 経産牛50頭、子牛・育成牛40頭規模では、ふん尿混合物水分を70%程度に調整すると1,000トン程度となり、これを底面幅6m、高さ2m、長さ20mの堆積規模で夏期間3か月、冬期間6か月の発効処理を実施すると6基必要となり、その経費は約160万円となる。
1基当たりの経費
資材名 金額(円) 備考
通気性シート 96,000 1枚(10m×26m)
防水シート 105,000 1枚(6m×20m)
山砂 27,000 15m3
暗渠管 30,000 通気用45m(Φ50mm)
排汁用16m(Φ100mm)
防鳥ネット 3,000  
土嚢 0 手作り(肥料袋利用)
261,000  
<作り方>
堆積場所
 緩やかな勾配をつけた地面に防水シートを敷き、廃汁回収用も暗渠管を配置し、その先に廃汁溜を設置する。
防水シートの保護
 廃汁の回収と防水シートを保護するため、山砂を敷く。
通気用暗渠管の埋設
 発酵促進のため体積高50cm毎に暗渠管を長軸方向に埋め、先端部を堆積層の外側に露出させる。
原料ふんの堆積
 水分を70%程度に調整した原料を下底幅6mで高さ2m、長さ20mのカマボコ状に堆積する。
通気性シートの被覆
 通気性シートで被覆した後、防鳥ネットで覆い土嚢などでシートを押さえる。
<根拠となった試験成果>
 ○発酵温度の経時的変化
 ○堆肥の水分(%)
区分 処理開始時 終了時
簡易堆肥化区 73.0 60.9
対照区 73.0 71.8
 開始14.7.18  終了14.10.17
(青森県畜産試験場 家畜部)