堆肥化の初歩、糞尿分離を効率的に
 

1.スノコを清掃しよう


 繋ぎ飼い牛舎の方に質問です。バンクリーナのスノコ、詰まってませんか? 牛尿はスノコを通って貯留槽に流れていきますか? 糞尿混合物を堆肥舎に運んでいませんか?
堆肥化の基本は糞尿分離です。糞尿を混合してしまうと堆肥化するためのオガクズを多く混ぜなければならず、堆肥舎の容積が不足してしまいます。糞尿をきちんと分離できればオガクズが少なく、肥料成分の濃い堆肥が作れます。
さあ、スノコをきれいにしましょう。

 

2.スノコの清掃にはこのような工夫も


しかし、スノコの清掃は思いのほか大変です。水で洗い流すにしても近くに水道がなければホースの出し入れに手間取りますし、貯留槽の水量をいたずらに増やすのも考えものです。スノコの目合いを棒か何かで突くのも面倒な作業です。
 そこで畜産試験場では、毎日バンクリーナを使い終わった後に、水中ポンプで貯留槽の牛尿をスノコに返送して清掃する方法を考えました。この方法ですと、数秒でスノコの詰まりは解消されます。バンクリーナを動かすときは、尿溝に落ちている糞尿だけを先に排出し、汚れた敷料を後から尿溝に落とし入れて排出させれば、糞と尿がきれいに分離されます。

 

3.尿散布は手間ですか?


ところで、糞尿を分離すると堆肥散布の他に尿散布もしなければならない、手間が2倍に増えると思いませんか? 経済的な評価を行っていないので厳密には判断できませんが、糞尿分離では尿散布が増えるデメリットがあるものの、オガクズ購入費や堆肥の量、堆肥散布の回数が減るなどメリットの方が多いものと思われます。
 また、ポンプタンカやバキュームカーでの尿散布はマニュアスプレッダによる堆肥散布よりも短時間で済みますし、堆肥は草地更新時やトウモロコシ播種時でなければ使いにくいものですが、牛尿は草地の刈り取り後に追肥としても使えます。なお、牛尿の利用に当たっては、肥料成分を数分で推定する方法がありますので、お近くの普及指導員にご相談ください。

さっそく、明日の朝からスノコを清掃してみましょう、まずは手作業で。そして、牛尿がきれいに分離された糞・敷料混合物を確認しましょう。きっとポンプが欲しくなります。後は懐具合と相談して下さい。

 
資料提供:県農林総合研究センター畜産試験場